資本主義社会におけるHOME/WORK VILLAGEの可能性
- 原田竜馬
- 4月29日
- 読了時間: 4分
先日、世田谷区の「HOME/WORK VILLAGE」のオープニングセレモニーに出席をしました。これまで「ものづくり学校」という名称で旧池尻中学校の跡地を活用してきましたが、新たなる複合施設として2025年4月16日にオープンしました。この施設は、世田谷区の産業活性化拠点として地域の生活文化や経済の持続的発展に貢献することを目的として、「HOME(暮らす)」「WORK(働く)」「HOMEWORK(宿題=社会課題)」の3つのキーワードを軸に、未来の世代から課された社会課題に向き合い解決していく人々が集まるVILLAGE(村のような)場所を目指していくということです。

この施設については、先の議会でも質問をし、壮大なテーマになるのですが、資本主義社会の弊害を打ち破れるような施設になってもらいたいと願っているところです。(もっと昔から議論に参戦できていればよかったー!と後悔。)
先日、とある学校関係者とお話をしていて「知識や技能を身に着けた学生達が、社会の企業の駒のように利潤のために働かされて、疲弊し、潰れていく姿を見ているのが辛い」といった話を伺いました。この間、議員になってから多くの学生や若者と話している中で、「こんな熱い思いや能力を持っているのに発揮できていなくて勿体ない!」と思うことが私自身もありましたので、その話に大きく同意できるところでした。
現代社会において、多くの才能ある若者たちが資本主義という巨大な歯車(仕組み)の中で自らの個性を失い、精神的にも消耗していく姿を目の当たりにしています。彼らは大学や専門学校、今ではオンラインで専門知識を身につけ、技能を磨いてきたにも関わらず、就職後には単なる「駒」のように扱われ、長時間労働や過度な成果主義、年功序列に代表した硬直した組織構造の中で、創造性や情熱が失われている日々を過ごしている若者も少なくないと思っています。
世田谷区には、「世田谷区地域経済の持続可能な発展条例」という条例が令和4年に施行されました。この条例は、「地域の経済発展並びに地域及び社会の課題の解決を両立する地域経済の持続可能な発展を推進し、豊かな区民生活の実現に寄与することを目的」としています。また、第3条の基本的方針では、
(1)区民生活を支える多様な地域産業の持続性の確保に向けた基盤強化を図ること。
(2)誰もが自己の個性及び能力を発揮することができる働きやすい環境を整備し、起業の促進及び多様な働き方の実現を図ること。
(3)地域及び社会の課題の解決に向けてソーシャルビジネス(地域及び社会が抱える課題の解決及び収益の確保の両立を目指して取り組む事業をいう。以下同じ。)の推進を図ること。
(4)地域経済の持続可能性を考慮した事業活動及びエシカル消費(人、社会及び環境に配慮した消費行動をいう。以下同じ。)の推進を図ること。
ということを基本的な方針としています。
このような条例を掲げている当区だからこそ、HOME/WORK VILLAGEが、従来の雇用形態に縛られない、多様な働き方の実践や、フリーランス、副業、起業、社会活動など、一人ひとりが夢を追いかけながらも経済的自立を目指すことができる場であってもらいたいと思うところです。

そして・・・若者の才能を開花させるだけでなく、その成果を地域に還元する循環を生み出してもらいたいということもあります。(この考えに一部、搾取的な思想が含まれていると思っておりますので、あくまで自発的に地域に還元したいと思ってもらえるような仕組み作りになると思いますが!)
かつてのものづくり学校は、なかなか地域に開けた場所になっていなかったということが課題として挙げられていました。しかし、地域住民との交流イベントや、地元企業との連携をすることで、自分の仕事が社会にどのように貢献できるのかを実感することもできる場になるのではないかなと思います。それが、企業の歯車として働くだけでは得られない、仕事の本質的なやりがいに繋がってくれたら、これ以上に嬉しいことはないところです。それに、そうして評価される仕事は、社会的価値の創出するものとして新たな経済循環を生み出す可能性も多いにあるのではないかと思うところです。
HOME/WORK VILLAGEが、資本主義社会の中で苦しむ若者たちにとって、ちょっとゆっくり進みながらも、才能を開花させ、自分らしい人生を切り拓くための出発点となるべき場所にしてもらいという、私が勝手に描いているテーマをどこまで運営事業者の方や区と共有できるか分かりませんが、こうした状況を打破するためにも、先日開業した世田谷区の「HOME/WORK VILLAGE」が持つ役割は大変、大きなものがあるのではないかと期待をしています。地元大学の学生やこの世田谷区に住むありとあらゆる若者を掘り起こし、若者が持つナレッジを最大限に活かすことができる世田谷区をどうにか目指していってもらいたいと期待をさせていただきます!
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